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書評

ファンタジー超大作「獣の奏者」の魅力は?

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アニメ化された超大作「獣の奏者」シリーズ

守り人シリーズ」を描かれた上橋菜穂子先生をご存知でしょうか?

私は上橋先生の魅力にどっぷりつかってしまった読者の一人です。その光景が頭の中に鮮明に描かれるような臨場感あふれる描写、子どものころに思い浮かべた未知への好奇心を再び思い出させてくれる世界観、そして時間も忘れて読み進めてしまうわくわく感が上橋先生の作品にはあります。

そんな上橋先生の作品の中でも特にお勧めしたいのが「獣の奏者」です。

「Ⅰ闘蛇編」「Ⅱ王獣編」「Ⅲ探求編」「Ⅳ完結編」の4部構成となっており、結構ボリュームのある作品ですが、時間も忘れて読み進めてしまいます。

今回は「獣の奏者」の魅力をお伝えします。

獣の奏者の物語

真王(ヨジェ)一族が納めるリョザ神王国が舞台となっており、闘蛇衆の村に住むエリンという女の子が主人公です。闘蛇とは巨大な蛇のような獣で、戦闘用の獣として飼育されています。エリンの母は優秀な獣ノ医術師として、闘蛇の飼育にあたっていましたが、ある事件が起きたことで二人にとってとても不幸な出来事が起きてしまいました。エリンが傷つきながらも自分の信じた道を突き進んでいく壮大なファンタジーになっています。

霧の民アーリョとは?

エリンの母は、緑の目を持つ「霧の民アーリョ」と呼ばれる流浪の民です。アーリョは真王(ヨジェ)に仕えず、一族以外の者と結婚してはならない、一ヶ所に留まって暮らしてはならないなどの厳しい戒律の中で暮らす謎の多い一族なのですが、「巡回者」「探索者」といった形でエリンの行く先々に登場します。彼らは一体どんな民なのか、そしてどんな目的があってエリンの前に姿を現すのか。この謎の一族に思いを巡らせながら読んでみると、より一層作品が楽しめます。

闘蛇と王獣とは?

物語に登場する空想の生物「闘蛇」。水の中で生活し、馬よりも早く野を駆けるこの獣は、想像してみると大きな蛇というよりもドラゴンのような印象を受けます。また、闘蛇の天敵であり、人には決してなつかないとされる「王獣」。こちらは羽の生えたライオンのような獣を想像します。この闘蛇と王獣を決して戦わせてはいけないとアーリョはエリンに言います。アーリョの言葉の真意は?過去にどんなことが起こっていたのか?少しずつ明らかになる闘蛇と王獣の生態や関係性は、また新たな謎を呼び、物語に引き込まれる大きな要素になっています。

王国の運命に翻弄されるエリンの生き様

獣ノ医術師として獣と心を通わし、次々と生態を明らかにしていくエリン。それは、ただ謎を解き明かしたいという欲求と、獣を愛する気持ちから生まれたものでした。しかし、貴重な知識を得たエリンはリョザ神王国の運命の渦に巻き込まれていきます。傷つき、悩みながらも決意し、自分の進むべき道をただひたすらに進んでいくエリン。感動のクライマックスは、すべての謎が解け、エリンの生き様に涙した人も多いのではないでしょうか?まざまざと光景が目に浮かぶような描写で、ファンタジーと現実感が見事に融合した超大作。

ぜひ一度読んでいただきたい作品です。

 

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